しかし全ての歯科が、ハンドピースの交換滅菌を行っているわけではない。日本歯科医師会会員1000人に行った同省研究班のアンケート調査によると、「患者ごとに交換」が52%だったのに対し、「感染症患者とわかった場合に交換」「血液が付いた場合などに交換」「消毒薬で拭く」の合計は46%だった。スリーウェイシリンジ

 

 厚労省は14年6月、都道府県などを通じ、歯科医療機関にハンドピースの滅菌を求める通知を出している。歯科医師会も歯科医向けの講習会で滅菌の必要性を説明し、啓発に努めている。なぜ、使い回しはなくならないのだろうか。超音波スケーラー

 

 要因で多くの歯科医が指摘するのは、滅菌にかかる多額の費用だ。高機能のオートクレーブの導入には、約100万円。その他必要な設備も入れると300万円以上かかることもある。

 

 ハンドピース以外にも、歯を削る際に出る粉じんの吸引や、患者のいす周辺の清掃など、歯科に求められる院内感染対策は多岐にわたる。ハンドピースの滅菌を含む院内感染対策費について、広島県歯科医師会医療管理部は、患者1人当たり1058円とする試算結果を16年に発表している。

 

 これに対し、医療サービスの公定価格である診療報酬の歯科再診料は、院内感染対策を行った場合の加算も合わせて500円だ。日本医業経営コンサルタント協会副会長の永山正人さんは「歯科の診療報酬は医科に比べ低く抑えられている。診療報酬に院内感染対策を強化する新たな加算が必要」と主張する。

 

 一方で、院内感染対策に取り組めるようになるためには、永山さんは「クリニックの経営を安定させることが大事」と話す。同協会は11月12日に東京都品川区で、開業準備中の歯科医向けに歯科診療所の経営の基本に関する講座を開く。

 

 18年4月は、2年に1度の診療報酬の改定の時期となる。日本歯科医師会は、院内感染対策の費用をまかなう基本診療料の充実を求めていくという。

 

 矢島さんは「患者、歯科医双方にとっていい環境を整えられるよう議論を深めてほしい」と話す。

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