「遺体安置所には多くの自分の患者がいた」。北海道を襲った地震による土砂崩れで36人が亡くなった厚真町で歯科医院を営む吉住彰郎さん(47)は、警察からの依頼で犠牲者の身元確認作業に携わった。歯型や治療痕が生前の特徴と一致するかどうか調べるためだが、「顔が分かっている分つらかった。でも、誰かがやらないといけない」と、遺体に向き合ったという。家庭用・歯科用超音波スケーラー

 

 厚真町に歯科医院は二つだけ。カルテを持ち、遺体安置所となった児童会館の建物に入ると、黒い袋に包まれた多くの見知った顔があった。

 

 医院に長年通っていた女性の変わり果てた姿もあった。「傷だらけで、口の中に土砂が入り込んでいる人もいた」。息を吸い、あふれそうになる涙を抑えた。エアーコンプレッサー

 

 「何かをやっていた方が気が紛れる」と、すぐに地元商工会のメンバーと避難所で炊き出しを始めた。診察用の応急キットを持ち出して避難者の歯を診て回った。慣れない生活により、ストレスで歯を食いしばるため、歯ぐきが腫れて痛いと訴える人もいた。

 

 もともとは道内の沼田町出身。大学を卒業後、約18年前に開業した。厚真町を選んだのは「たまたま」だと言うが、住民と出会ってこの地が好きになった。歯科医にもかかわらず今は商工会の理事も務める。「けっこうしんどいけど、楽しいから助けたいし、やってあげたい」

 

 断水が続く中で、ペットボトルの水を使い医院も再開した。「これからどうなるんだろう」と不安を隠せないが、「少しずつ皆が仕事し始めて、町が元通りになるところにこぎ着けたのではないか」と話す。

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