寝たきりの高齢者などの肺炎リスクを減らすために口腔ケアが効果的なこと、また手術前に口腔ケアをしておくと肺炎や口腔がんの手術部位の感染を予防できることはよく知られている。
例えば、食道がんの手術後、肺炎にかかる割合は15~32%とされ(※1)、その原因は歯垢に繁殖した細菌と考えられている(※2)。そして、食道がんの手術前に歯垢を除去するなどの口腔ケアをすることで、手術後に肺炎にかかる割合が減ることも事実のようだ(※3、32%→9%)。
がんや肺炎に限らず、消化器官などの外科手術では、口の中の細菌が直接的に患部へ移動したり、炎症を引き起こす反応に間接的に関与すると考えられ、手術前にこうした細菌をできるだけ除去しておくことが合併症予防のために推奨されている。
今回、東京大学の研究グループが、これまで実証的理論的に明らかになっていた手術前の口腔ケアが、がん患者の手術後の肺炎発症率や死亡率をどれくらい減少させるかという効果を、大規模なデータベースを使って検証し、英国の医学雑誌『BJS(British Journal of Surgery)』オンライン版に発表した(※4)。
使用したデータベースは、厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)で、日本で行われているほぼ全ての保険診療の請求データを含んでいる。
http://dentaljp.blogspot.com/2018/09/blog-post_96.html
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